とってもカルディア

※ネタバレ注意

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『とってもカルディア』(1985)は、織田貞夫(おださだお)と土佐美郷(とさみさと)の山本山コンビ(上から読んでも、下から読んでも)が活躍するシリーズ第2作。
前にも書いたことがあるけれど、シリーズものを原則として書かなかった岡嶋二人としては例外的な作品である。

ちょっと横道にそれるが、岡嶋二人がシリーズ作を書かなかったのは、マンネリを嫌い、常に目新しい作品を書こうという、彼らなりのポリシーだったと思う。

同時に、彼らは「名探偵」を嫌ったのではないか。
同じシリーズで何冊も同じ探偵が活躍する作品はそれなりに楽しいが、岡嶋二人としては、何度も出てくる「おなじみの主人公」よりも、その1作だけの「特別な主人公」であることを大切にしようとしたのだと、私は推察している。

その意味では、シリーズ作の本作は例外だけれど、その例外(しかも第1作は短編集だったのに,本作は長編)をあえて書くだけの魅力が、この作品の主人公にはあったということだろう。

二人の基本的なキャラクターは、『三度目ならばABC』(1984)を参照してもらうとして、この『とってもカルディア』は、貞夫クンのところに、旧友の秋本が突然訪ねてくるところから始まる。

美郷チャンの買ったばかりのカメラ、カルディアを強引に借りて持ち去った秋本に、美郷チャンはカンカン。

一方、事件の再現ドラマを作っている二人は、ディレクターから、パーティー会場から死体が消えた殺人事件の話を聞く。美郷チャンは、それが秋本に違いない!といつもながらのぶっ飛んだ推理。
貞夫クンは振り回されるが、秋本が本当に死体で発見されて(パーティー会場の死体ではなかったが)、事態はビックリの展開を見せる。

秋本は美郷チャンのカメラを持って、いったい何をやっていたのか。
その行動の謎が少しずつ明らかになっていくにつれて、いろんな伏線がピタッと納まっていく。

まさしく,ぐいぐい引き込まれるけれど、この作品の真価は、やはり主人公のコンビ二人の軽妙なやり取りだろう。ユーモアと、ストーリー展開の両方で読ませるのだから、岡嶋二人はさすが。
美郷チャンの無責任な推理から、貞夫クンがヒントを得て、隠された真実に迫っていくのが快感で、ミステリーとしてのこの作品の魅力だろう。

事件の発端からは思わぬところへ話が動いていく、岡嶋二人ならではの展開のうまさも健在。岡嶋作品の中では、最高クラスの出来ではないかもしれないが、読んで決して損はしない、娯楽作の見本のような傑作だと思う。
 

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